- iPS細胞でヒトの脳が作られた!?
- 新薬開発
- 脳再生への希望
人工的に脳を作ることに成功
一度失われてしまったら、取り戻すことが難しい脳機能。劇的に回復する事も現実的になって来たかもしれません。なんと、直径4mmほどの大きさの人間の脳が、オーストラリアや英国の研究チームにより作られているんです。iPS細胞とES細胞から作られたこの脳は、大脳皮質に似た構造や髄膜などが再現されていて、記憶をつかさどる海馬の細胞や、目で光を感じる網膜なども含まれています。血管がないなどの理由で直径4mmほどまでにしかならなりませんでしたが、これまでは考えられなかったような事が実際に起きているんですね。
小頭症の組織も再現
今回の研究で、小頭症患者の皮膚の細胞から作ったiPS細胞を同様に培養したところ、発達に異常がある脳組織も出来たそうです。このように、異常のある脳組織が再現出来れば病気の原因を解明し、治療方法を確立していくことも可能になって来るのではないでしょうか。
※小頭症とは頭が極端に小さく脳の容積が少ない症状です。脳の発育が悪いために脳体積が小さく、頭蓋腔の容積も拡大しないものと、頭蓋骨の縫合が早期に完成するために頭が極端に小さいものの二つがあります。(通常、産まれたばかりの赤ちゃんは頭蓋骨がいくつかのピースに分かれていて脳の成長に合わせて頭も大きくなります。大人になるとそのすき間はくっつきます。)知能の発達遅滞が顕著です。前者は頭蓋骨癒合症の治療に準じますが、後者には有効な治療法がないことが多いと言われています。
iPS細胞で実現?夢の医療
認知症、発達障害、精神疾患、ほかの全ての脳の疾患…。今の医療では解決が難しいものです。
一度死んだ脳細胞はこれまで二度と再生しないと言われてきました。
脳は、思考以外にも運動機能やホルモン分泌などさまざまな役割を担っています。例えば、脳卒中の後遺症で半身麻痺になっても、iPS細胞から脳細胞を作って移植することが出来れば、再び自由に体を動かせるようになるかもしれません。
これから、iPS細胞を使って、不可能だった治療も可能になるかもしれませんね。
ライター:田宮悠季