- 生涯学習で認知症予防
- 外国語学習で認知症予防
多言語を話す人は認知症になりにくい?
・カナダのヨーク大学の研究によると「二言語を話す人は一言語を話す人に比べて認知症と診断されるのが5年遅く、三言語を話す人は6.4年、4つ以上の言語を操る人は9年遅い」。
・米ノースウエスタン大学の研究チーム「2カ国語を話す人と1カ国語だけを話す人との間に語音を処理する脳の能力に違いがある」という論文を米科学アカデミー紀要に発表した。それによれば、「2カ国語を話す人の脳は1カ国語だけを話す人の脳と比較して、音節を判別する能力に優れており、ざわめきに埋もれた音節でも感知できる」。
・BBCニュースで紹介された、スコットランドのエジンバラ大学とインドのニザム医科学研究所による、バイリンガルが認知症にもたらす効果についての過去最大規模の共同研究の結果(米国神経学会機関誌『Neurology』掲載)。「約650人の認知症患者を観察したところ、2カ国語以上を話すバイリンガルは1カ国語しか話さないモノリンガルに比べて、アルツハイマー、血管性認知症、前頭側頭認知症において最長で5年間ほど症状の進行が遅かった」。
外国語学習のメリットはこんなにある
母国語以外を学習することで得られる効果は沢山あるようです。
・あらゆる認知能力の向上に役立つと考えられている。記憶力、集中力、注意力、などの他に外国語の学習をしている人はしていない人に比べて数字にも強くなる傾向があるようです。また、あらゆる物事に対する学習能力が速くなることも期待できそうです。
・母国語の文法、話し方が改善され語彙も増える効果が期待できる。母国語の文法と違う文法を組み立てたり単語を学習することで、普段使っている日本語を見直すことが出来ますね。
・社交的になる。外国語教室に通ったり、実際に学習した言語を使って会話をすることで他者とのコミュニケーションをとることになる。社会との関わりを持ち、誰かと会話することはそれ自体認知症を予防する効果が期待出来ますし、日本語にない発音を発声することも脳に刺激を与えることになりますね。
・自信が持てる。新しく学習を初めて、少しでも成果が出るのは楽しいものですよね。健全な自信を持つことも脳の状態を若く保つことにプラスになりそうですね。焦らず自分のペースで学習すると良いでしょう。
海外移住の落とし穴
外国語を学習することで脳の状態を若く保ち、認知症を予防する効果が期待できる一方で、海外移住となると実は落とし穴があります。大人になってから習得した外国語は一旦認知症になってしまうと忘れてしまうケースが多いようです。従って、移住後に現地で認知症を発症してしまうと意思の疎通が出来ず介護する側される側、双方とも困ってしまう事態に陥る危険性があるのです。移住となるとリスクを考慮してから慎重に検討した方が良さそうですね。
ライター:田宮悠季